このコラムで「港区に住むこと」については、すでに触れた。
今回は、港区でも屈指のセレブタウン=高級賃貸物件の宝庫である白金に住むことを考察してみたい。
まず白金に住むにはいくつかの資格が必要となる。少なくとも「白金」を「白銀」と打ち間違えてはいけないし、「しろがね」と読んではならない。読み方はあくまで「しろかね」である。
人は往々にして何事にも先入観を抱いてしまう。白金といえば、何を連想するだろうか。ひとつは「シロガネーゼ」という言葉かもしれない。こう呼ばれるマダムは、とんでもないマンションに住んでいそうだ。
駅周辺には、これといった高級店のようなものは存在しない。買い物は銀座・赤坂・六本木。白金はあくまで住むための街だといえる。
では、白金を日本屈指のセレブリティタウンたらしめているものは何かというと、それは決して銀座をはじめとする華やかな場所に近いからだけではない。白金は、首都圏でも指折りの緑地街なのである。
コンクリートに囲まれた東京砂漠。一軒家なら、庭に自然を植えることもできよう。しかし、これまで繰り返し述べてきたように、東京の住宅事情で大きな庭がある一軒家を購入することは非常に難しい。
白金には、そんな一軒家に負けないハイグレードな高級賃貸物件と、国立記念博物館付属自然教育園に代表される緑地帯が存在する。
自然が何をもたらしてくれるか。それは名作アニメ『アルプスの少女ハイジ』を見れば分かる。アルプスの大自然の中で育ったハイジは、クララの住む大都会に行き、体調を崩した。しかしアルプスに帰ると再びいつものハイジに戻って、さらには足の悪いクララもアルプスに行けば立てるようになってしまう。
自然って素晴らしい。
ちなみにハイジにはもうひとつ、アルプスとハイジに救われたアルムおんじのストーリーがある。もともと、近隣の人間には偏屈なおじいさんとして好かれていなかったおんじだが、ハイジのおかげで全く別人のように優しくなっていく。それこそ、「口笛はなぜ遠くまで聞こえるの?」とか「あの雲はなぜ私を待ってるの?」という質問にも答えられるぐらい、優しさのエキスに満ち溢れていった。バファリン敵わない。
白金とは、まさにアルプスの大自然だ。女はシロガネーゼからハイジに、男はおんじのような優しさを身に付けることができる。
白金に住むこと、それは『ハウス名作劇場』……ではなく男が優しくなれる生き様なのである。

ライター亀池聖二郎

 

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