高級賃貸物件に「分譲賃貸」というものがある。
そもそも「分譲マンション」とは賃貸物件ではなく、ひとつのマンションの中から部屋をひとつずつ販売する場合に使われる言葉だ。だから「分譲」と「賃貸」とは相反する言葉といえなくもない。
しかし、「分譲」であり「賃貸」だ。
大まかにいえば、「分譲マンション」として建築された物件を、購入した人間が賃貸として人に貸す物件を、あるいは「分譲マンション」でありながら、なかなか売れないため最終的に賃貸として貸すことになった物件のことを「分譲賃貸マンション」というようだ。
では、通常の「賃貸マンション」ではなく「分譲賃貸マンション」のメリットとは何か。
料理で例えてみよう。日本には古来より「甘辛」という味がある。「甘い」のに「辛い」。
結論から言うと「甘辛」とは、「甘い=砂糖」と「辛い=醤油」を組み合わせた時にできる新しい味であり、砂糖と醤油の良さがさらに引き立つ“味のハーモニー”である。
先日、親子二代に渡って活躍する、料理研究家・フードプロデューサーの土居善晴さんの番組を見ていた時のこと。もともと牛肉と牡蠣は相性が悪いものとされてきたが、土居さんはその2つの材料を使った料理の旨さを、こう表現した。
「サンダとライガ。ゴジラとキングギドラ。最大のライバルが組み合わさることで、その良さが引き立ち、最高の旨さが誕生する」
アシスタントを務めていた若い女子アナウンサーは、この話に困惑の表情を浮かべた。
では、この例ではどうか。大人気作品『ドラゴンボール』に「フュージョン」という概念がある。2人の戦士が融合し、さらに強い生物となるというものだ。
その作中で、最強の戦士はいかなるフュージョンによって誕生したのか。それは「あの世とこの世を含めて3本の指に入る達人のうちの2人」と評された、孫悟空とベジータによる“ベジット”だ。
そう、「分譲賃貸物件」とは、つまり「フュージョン物件」なのである。
もともと分譲マンションは一戸建てと同じ基準で建築されているため、通常の賃貸マンションとは「家」としての機能レベルが全く異なる。それだけに値段は高い。当然、自分の経済状況によっては賃貸物件を借りることを選択しても、致し方ない。
しかし、そんな「分譲」のハイクオリティーと、「賃貸」のリーズナブルさが共存する物件があるとしたら……。
男なら、いつだって「サンダとライガ」「ゴジラとキングギドラ」「孫悟空とベジータ」の強さに憧れるはずだ。男なら、そんな物件に住んでみたいと思わないだろうか。
「分譲賃貸」、それもまた男の生き様なのである。

ライター 亀池聖二郎

 

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