高級賃貸といえば、真っ先に思い浮かべるのは超高層マンションに違いない。しかし、そんな住宅幻想に異変が起きていることをご存知だろうか。

その名も「低層型マンション」。

「低い」のに「高級」。ある意味「分譲」なのに「賃貸」に近い。「甘い」のに「辛い」。ゴジラとキングギドラ、孫悟空とべジータ……もうそれはいい。

ところが、「低層型マンション」と「分譲賃貸」は、その性質が異なる。まずなぜ「低層型マンション」が生まれたのかといえば、首都・東京にこれだけの人口が集中する中、防火対策などで建築物の「建ぺい率」を低くせざるをえなかったからだ。

たとえば50坪の土地があったとして、どの場所でも50坪まるまる使って建物を築いていい、というわけではない。建築基準法では、その地域によって「健ぺい率」が定められており、50坪の土地を購入してもその地域の健ぺい率が50%であれば、50坪の50%つまり25坪分しか建物のスペースにしてはいけないということになる。

それはスペースだけでなく、建物の総容量も基準になるため、結果的に小さな住宅もしくはマンションしか建てることができないのだ。

ん? いつもと感じが違う? このコラムはあくまで「高級賃貸」がテーマだ。勘違いしないでほしい。

話を続けよう。続いて価格を見てみる。モダンスタンダードが取り扱っている低層型マンションで、六本木や白金台の物件は、1LDKで賃料180,000円台。高級賃貸としては、相場といってもいい。ひとつ乃木坂に1Rで100,000円台の物件がある。港区なのに、赤坂なのに。さすが公式ライバルだ。

ん? 何か……まぁ、気にするのはよそう。

他の物件というと……同じ港区で、1LDK 500,000円、3LDK 1,300,000円。正直なところ、超高層タワーマンションと変わらないどころか、むしろ上を行っていたりする。

なぜか。部屋に備わっている機能に、それほどの違いはないようだが、タワーマンションが建っている場所は、六本木ヒルズに代表されるように都会の喧騒の中。しかし低層型マンションは、健ぺい率が低い=住宅が密集している住宅地にある。しかも部屋数が少ないために、好物件はすぐになくなってしまう。

男なら、こんな経験はないだろうか。都会の中で華やかな蝶が舞う中、その魅力を追いかけるあまり、一番近くにいる素敵な女性を見ていない自分。しかし蝶は蝶、男は空を飛ぶことなどできない。ふと地上を見てみると、側にいたはずの素敵な女性も、自分の下を去っていた。

生き方も価値観も人それぞれ。でも僕たちはいつだって大切なものを見失いがちだ。

だから、チャンスを逃してはいけない。低層型マンション、それは男の生きる道である。
ライター 亀池聖二郎

 

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